Scripintelligence Japan

2017/03/16

AbbVie社の抗炎症剤Humiraの特許切れを待ちわびるバイオシミラーの数々


08 Mar 2017 | Lucie Ellis

 

エグゼクティブサマリー

 

現在開発中のアダリムマブのバイオシミラー候補薬は、20ある。FDAの承認を受けたものの発売には至っていないAmgenのAmjevitaはその一例だ。バイオテクノロジー企業や大手製薬企業はこぞって候補薬を準備し、AbbVieの世界トップシェアを誇る抗炎症薬でありかつ免疫調節薬でもあるヒュミラが特許保護を失うのに備えている。

 

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WORLD'S BEST-SELLING DRUG HUMIRA FACES BIG LOSSES AS BIOSIMILAR VERSIONS WAIT IN LINE(Source: Shutterstock)

 

現在開発中のアダリムマブのバイオシミラー候補薬は、20ある。FDAの承認を受けたものの発売には至っていないAmgenのAmjevitaはその一例だ。バイオテクノロジー企業や大手製薬企業はこぞって候補薬を準備し、AbbVieの世界トップシェアを誇る抗炎症薬でありかつ免疫調節薬でもあるヒュミラが特許保護を失うのに備えている。

 

AbbVie Inc.ヒュミラ(アダリムマブ)は世界最大の売上だが、そのバイオシミラーは世界のそこかしこで息をひそめ、時が来るのを待ち受けている。AbbVieの最大の収入源である先発薬ヒュミラの特許が切れ次第、バイオシミラーで市場に打って出る準備を整えているのだ。

 

腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬ヒュミラは、さまざまな炎症性疾患に対する適応で承認を受け、今でもAbbVieの成長を支える主たる収入源で、2016年だけでも161億ドルの売上を記録し、2015年から約15%の成長を果たした。昨年の2016年の売上のうち、104億3千万ドルが米国、56億5千万ドルが世界各国からのものだ。

 

ヒュミラはAbbVieの2016年の売上の63%を占め、今後も当面は収益の大きな部分を占めていくであろう。同社はこの薬剤を新興市場に売り込み、2016年に新たにぶどう膜炎に対する承認を受ける等、適応範囲の拡大を図っている。しかし、Informa Pharma IntelligenceのDatamonitor Healthcare部門のアナリストらは、ヒュミラの売り上げは、2018年の171億ドルをピークにかなり下落していく、と予測している。同薬は、2020年までにブランド薬としての売上高が世界最大という首位の座から転落すると予測される("Top 10 Drugs Poised To Lose $26bn By 2020, An Infographic"[Scrip 2016年12月28日]も参照のこと)。

 

 

Credit Suisseのアナリストらの予測では、ヒュミラの売上は2018年の187億ドルをピークに、徐々に価値を失い始める。アナリストらは、近々の脅威として、価格に対する圧力や他のブランド薬との競争に言及している。最速では2018年(欧州)にバイオシミラーが参入してくる可能性があるが、Credit Suisseの予測では、2022年に米国で特許が切れるまで、ヒュミラの売上は100億ドル以上を維持する見込みだ。これは、139億ドルを記録したGilead Sciences Inc.のハーボニー(レジパスビル/ソホスブビル)とヒュミラ自体を除いて、2015年の売上トップ10の医薬品の合計額より高い売上である。

 

humirasales2017-2024

 

正確にはいつヒュミラがバイオシミラーとの競争に直面するのか、という疑問に答えるのは難しい。AbbVieは、ヒュミラの知的財産権を保護するために世界でいくつかの特許訴訟を起こしており、米国においてヒュミラは2022年まで安全、と考えている。しかしながら、アナリストの中には、ヒュミラが主要な特許保護を2018年に失う、と予測する者もいる。損失を他のパイプラインやC型肝炎のポートフォリオで食い止めようとするAbbVieの試みにもかかわらず、これは大打撃となるであろう。Datamonitor Healthcare部門は、ヒュミラをめぐる最近の特許訴訟のスピードを勘案すると、米国で2019年までにアダリムマブのバイオシミラーの販売が始まる、と予測している。

 

Credit Suisseは、ヒュミラとバイオシミラーとの直接的な競争は欧州において2018年第4四半期に起こると予測しているが、Credit Suisseも、ヒュミラが米国では2022年まで特許の保護を受ける、というAbbVieの予測と意見を同じくしている。

 

ヒュミラの売上が最終的に下落していくのを相殺してくれる、とAbbVieが期待する製品は、インターフェロンフリーC型肝炎配合薬glecaprevir/pibrentasvirだ。これは同社の感染性疾患ポートフォリオにおいて企業の成長を促す主要な原動力と位置付けられており、2022年の売上が41億ドルのピークを迎えると見込まれている。しかしながら、これはヒュミラがピーク時に達成した売上の4分の1にも満たない。

 

AbbVieの新たなC型肝炎薬は、同社にさらなる挑戦を突き付けることになるだろう。Datamonitor Healthcare部門のアナリストが予測しているように、AbbVieはすでにC型肝炎治療薬Viekira Pak(オムビタスビル、パリタプレビルおよびリトナビル錠にdasabuvirを加えたもの)の販売を開始しており、この新製品があらゆる治療域でViekira Pakのシェアに食い込むことになる。

 

次に待ち構えるバイオシミラー薬

 

Amjevitaとして知られるAmgen Inc.のバイオシミラー版アダリムマブは、ヒュミラの後続品としては群を抜いており、米国ではすでに承認を得ていて、続いて欧州での承認を目指している。同剤はすでに欧州医薬品庁から前向きな見解を得ており、欧州委員会から市販承認の確認を待っているところだ。しかし、AbbVieに対する特許訴訟が係争中のため、AmgenはAmjevitaの上市は最速でも2018年になる見込み、と2月に発表された第4四半期収益報告書には書かれていた。

 

しかし、治験薬の状況が解決してもAmgenは「医師や患者にバイオシミラーがどういったものなのか説明し売り込んでいく」必要がある、とDatamonitor Healthcare部門のアナリストArmando UribeはScripに語った。同時にAmgenは、異なる制度の下、さまざまな価格交渉に対応していく必要がある。例えば、米国ではPBM(pharmacy benefit manager)という処方薬の適正管理業務に携わる第三者機関が存在し、欧州では医療技術評価(Health Technology Appraisal)を行う団体が存在する。Uribeは、Amjevitaがヒュミラ初のバイオシミラー版であるため、上市までのプロセスには時間がかかることを付け加え、「米国の市場全体でこれらの新しい生物製剤がどの程度受け入れられるのか、非常に不透明です」と述べた。

 

Amgenの後に続こうと待ち構えているのはBoehringer Ingelheim GMBHで、すでにヒュミラのバイオシミラー版、BI695501の承認申請を米国で行っている。今年の第3四半期にFDAによる審査が行われる予定だ。

 

ヒュミラのバイオシミラー版製品と次の一手

 

 

 

 

 

薬剤名

 

 

企業

 

 

現在の開発段階

 

 

ハイライト

 

 

アダリムマブ

rHuPH20

 

 

Halozyme Therapeutics Inc.

/AbbVie

 

 

一時中止

 

 

AbbVieは、HalozymeのENHANZEテクノロジー・プラットフォームを用いた腫瘍壊死因子α(TNF-α)をターゲットとする開発プログラムを第1相試験終了後に中止した。TNF-αは、2015年にグローバルレベルでの共同開発に合意した9つの候補ターゲットのうち、最初のものであった。

 

 

Adello製

バイオシミラー版ヒュミラ

 

 

Adello Biologics

 

 

非臨床

 

 

 

 

 

Amjevita

 

 

Amgen

 

 

乾癬、関節リウマチ、若年性関節リウマチ(RA)、乾癬性関節炎、軸性脊椎関節炎、クローン病および潰瘍性大腸炎(UC)を対象に承認。

 

 

Amjevitaはバイオシミラー版アダリムマブとして米国で承認されており、最近欧州でも承認に向けての前向きな勧告を受けたが、いずれの地域でも発売には至っていない。AmgenとAbbVieとの間でバイオシミラー版ヒュミラをめぐる特許訴訟が係争中のため、2017年にAmjevitaが上市される可能性は、米国でも欧州でも低い("Amgen’s Biosimilar Adalimumab First To EU Nod But No Launch" [Scrip 2017年1月27日]も参照のこと)。

 

 

 

BI695501

 

 

Boehringer Ingelheim

 

 

乾癬、関節リウマチおよびクローン病を対象に生物製剤認可申請(BLA)を提出

 

 

米国において、Boehringerのバイオシミラー版ヒュミラの審査は2017年9~10月に行われる見通しである。

 

 

バイオシミラー版アダリムマブ(LG)

 

 

LG Life Sciences Ltd.

 

 

 

米国外で開発中

 

 

 

 

 

バイオシミラー版アダリムマブ

(mAbxience)

 

 

mAbxience

 

 

米国外で開発中

 

 

 

 

 

バイオシミラー版アダリムマブ

(Mucora)

 

 

Mucora

 

 

ベーチェット症候群を対象に開発中

 

 

2014年7月、FDAは、ベーチェット病の治療を目的に現在開発中であるMucoraのバイオシミラー版アダリムマブを希少疾病用薬に指定した。ベーチェット病は慢性の自己炎症性疾患。ヒュミラは、米国および欧州以外では、ベーチェット症候群の治療薬として承認されている。

 

 

BMO-2

 

 

Mylan Pharmaceuticals Inc.

 

 

炎症性疾患が対象の第3相試験

 

 

 

 

 

BOW-050

 

 

EPIRUS Biopharmaceuticals

 

 

非臨床

 

 

 

 

 

CHS-1420

 

 

Coherus BioSciences Inc.

 

 

乾癬および関節リウマチが対象の第3相試験

 

 

Coherusは2017年3月、CHS-1420がヒュミラと比較して優れていることを示す第3相試験の主要データを報告した。Biomedtrackerのアナリストは、「本試験において、いずれの薬剤も忍容性が良好で安全性の所見も認められませんでした」と述べた。

 

今年1月、Coherusは米国で4件の当事者系レビュー(Inter Partes Review:IPR)の申し立てを行い、AbbVieが出願した「619 patent」と呼ばれる公告番号US9085619の、ヒュミラに対する特許保護の無効化を求めている。

 

 

Exemptia

 

 

Zydus Cadila

 

 

インドで既承認

 

 

2014年にインド医薬品規制当局(Drugs Controller General of India、DCGI)により承認。それまでヒュミラはインドの患者に使用できなかった。

 

 

FKB-327

 

 

Kyowa Hakko Kirin Co. Ltd.

 

 

 

関節リウマチが対象の第3相試験

 

 

2016年10月、ヒュミラとの同等性を検討する第3相試験の主要結果が報告された。

 

 

GP2017

 

 

Novartis AGSandoz Inc.)

 

 

乾癬および関節リウマチが対象の第3相試験

 

 

GP2017の規制当局への申請はSandozから米国と欧州の両方で今年行われる予定である。Sandozは2017年3月6日、米国フロリダ州オーランドで開催された米国皮膚科学会(AAD)の年次総会で、乾癬が対象の第3相試験の肯定的なデータを発表した。

 

 

IBI 303

 

 

Innovent Biologics Inc.

 

 

米国外で開発中

 

 

Innoventはバイオシミラー版アダリムマブを、軸性脊椎関節炎の治療薬として検討している。同社は2016年9月に中国で主要第3相試験に着手した。

 

 

M923

 

 

Momenta Pharmaceuticals Inc.

 

 

乾癬および関節リウマチが対象の第3相試験

 

 

Momentaは2016年11月、M923の第3相試験の検証的臨床試験における主要データを発表し、結果が肯定的であったことを報告した。このバイオシミラーはShireとの提携下で開発が行われている。

 

 

MSB-11022

 

 

Merck KGAA

 

 

乾癬および関節リウマチが対象の第3相試験

 

 

Merckは2016年3月に乾癬を対象に、2017年1月には関節リウマチを対象にMSB-11022の第3相試験を実施することを発表した。

 

 

ONS-3010

 

 

Oncobiologics Inc.

 

 

関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎および乾癬が対象の第1相試験

 

 

 

 

 

PF-06410293

 

 

Pfizer Inc.

 

 

関節リウマチが対象の第3相試験

 

 

2017年1月、PF-06410293とヒュミラを直接比較した第3相試験の同等性試験における主要データが発表され、結果が肯定的であったことが報告された。

 

Biomedtrackerのアナリストは、主要データを基に述べるなら、試験は「バイオシミラーの同等性を示す試験としてかなり明白に成功を収めています」と述べた。

 

 

SB5

 

 

Samsung Bioepis Co. Ltd.

 

 

関節リウマチが対象の第3相試験、米国外でのその他の適応を対象にした試験

 

 

Samsungのバイオシミラーは2016年7月、欧州において規制当局の審査のため受理された。欧州医薬品庁のヒト用医薬品委員会(CHMP)による本製品の推奨は今年の4月から10月の間になされる見通しだ。

 

 

UB-721

 

 

United Biomedical Inc.

 

 

不明

 

 

本剤は米国外で開発中であり、同社によって「開発中」と記載された。

 

 

trial

ヒュミラの米国における現在の価格は1キットあたり約2,750ドルで、0.4mLをあらかじめ充填したプレフィルドシリンジ2本が入っているが、初めて上市されるヒュミラのバイオシミラーは、AbbVieが設定している製品価格から30%を割り引いた金額になる、とUribeは予測している。さらに多くのバイオシミラーの選択肢が市場に加われば、価格は50~55%程度を割り引いたものになるのではないか、とUribeは考えている。「ヒュミラの売上に及ぼす長期的な影響は甚大なものになります」とUribeは語った。欧州における生物製剤の導入は米国より速いが、プロセスは整備されているとは言い難い、とUribeは付け加えた。

 

ヒュミラはFDAに承認された初の完全ヒト型モノクローナル抗体薬で、2002年に関節リウマチ治療薬として承認された。承認以来、ヒュミラは若年性関節リウマチ、クローン病、乾癬性関節炎、乾癬、軸性脊椎関節炎、潰瘍性大腸炎、化膿性汗腺炎、そしてごく最近ではぶどう膜炎に対する使用が奨励されている。また、米国および欧州以外では、ベーチェット症候群に対しても承認されている。

 

 

 以上 

 

 

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